宇野重工株式会社
久保昇平さん(営業職) 30歳
家族との暮らしを重視し、異業界の営業職へキャリアチェンジ。
大阪の大学を卒業後、地元の三重県伊勢市で病医院を対象とする医薬品営業に従事していた久保さん。しかし、勤続10年を迎えた頃、別地域への転勤の可能性が出てきたという。結婚して家も建て、子どもがまだ小さかったため、遠方への単身赴任は避けたい選択だった。
そこで、久保さんは伊勢市周辺で営業経験が活かせる会社への転職を決断。リージョナルキャリア三重のコンサルタントに相談したところ、紹介されたのは宇野重工の営業職だった。
官公庁向けのインフラ提案という、まったく異なる業界への転身に当初は戸惑ったものの、調べるうちに「自分に合っているかもしれない」と感じるようになったという。現在は同社の営業職として活躍する久保さんに転職活動を振り返ってもらった。
※本記事の内容は、2024年7月取材時点の情報に基づき構成しています。
- 過去の
転職回数 - 1回
- 活動期間
- エントリーから内定まで60日間
転職前
- 業種
- 医薬品商社
- 職種
- 営業
- 業務内容
- 病医院を対象とする医薬品の営業
転職後
- 業種
- 建設業
- 職種
- 営業
- 業務内容
- 水門工事の営業
「医薬品の営業」から、「水門工事の営業」へ。
現在のお仕事はどんな内容ですか?
宇野重工は橋梁・水門をはじめとする各種インフラの設計・施工・補修を行う会社です。事業エリアは地元の三重県を中心に、名古屋・大阪・東京などへ広がっています。私は水門の営業を担当しており、お客さまはほぼ100%、官公庁・自治体となります。
インフラ工事の多くは入札案件のため、営業活動は各自治体の入札情報をインターネットでチェックするところから始まります。水門工事が行われる予定のエリアや状況を確認し、納期・コスト面なども含めて上司に相談しながら検討し、確度が高そうであれば応札資料を準備します。
私が担当する案件は1年で10件程度。数百万円の工事から数億円規模の工事までさまざまで、大規模工事となると複数年度かかることも珍しくありません。
工事が始まってからも、時々現場見学に行くことがあります。実際の水門や設置の様子を見ると学べることが多く、巨大な建造物を見ると営業としてのやりがいも湧いてきます。
入社前のご経歴を教えてください。
大阪の大学を卒業後、名古屋本社の医薬品商社に入社。伊勢支店に配属され、病医院に向けた医薬品営業を行っていました。幅広く拠点展開していた会社で、2~3年で転勤を繰り返す同僚もいましたが、私はずっと伊勢支店に勤務していました。
主な商材は医薬品ですが、それ以外に健康食品や医薬部外品などもあり、それらも一定数を売っていかないといけません。順調な時はいいですが、数字が上がらない時はプレッシャーを感じることもありました。
転職のきっかけは?
伊勢支店での勤務が長かったものの、転勤の可能性が出てきました。しかし当時、私はすでに結婚して家を建て、小さい子どももいたので、遠方への転勤となると単身赴任が避けられない状況でした。
育児なども考えると、家族で離れて暮らすのは避けたいと思い、これを機に働き方や待遇も含めて自分の仕事人生を見つめ直しました。
家族と離れてでも当時の仕事を30年続けるのか、あるいは自分に合った仕事を探し家族と一緒に暮らすのか、と考えた結果、転職を決断。妻もこの決断を尊重してくれました。
転職活動はどのように進めましたか?
大手転職サイトに一通り登録し、情報収集しました。しかし、三重県の転職情報が見つかりません。希望は「自宅から1時間程度で通えるエリアで、あとは営業職であればいい」くらいでしたが、もともと求人が少ないのか情報が出てきませんでした。
改めて三重県の転職に強い会社はないかとインターネットで検索し、出会えたのがリージョナルキャリア三重です。エントリーすると、すぐコンサルタントから連絡がありました。
面談で希望を伝えると、条件面だけでなく、どんな風土の会社だったら私の求める働き方に合っているかなど、かなり丁寧にアドバイスしてもらったことを覚えています。
並行して、職務経歴書のチェックもしてもらいました。宇野重工の面接にも同行してもらうなど、手厚くフォローしてもらったおかげで、リラックスして選考に臨めました。
今の会社に決めたポイントは?
コンサルタントからは3~4社の紹介があり、どこも私の条件に合致したところばかりでした。その中で宇野重工に興味を持ったのは、前職とまったく異なる業態の会社だったからです。対象となるお客さまも取扱商品も、以前とは全然違います。
当初は「こんな営業が自分にできるのか」と思いましたが、いろいろ調べるうち、「自分に合っているかもしれない」と興味を持ち始めました。
前職の営業はほとんど一人で完結するものでしたが、宇野重工の営業は応札時にもいろんな人の知恵を借りますし、案件が進んでからは技術者の力も不可欠で、チームプレイで進めていきます。みんなで作り上げていくスタイルに好感が持て、入社を決めました。
腰を落ち着けて物事を考えられるので、自分に合っている。
転職していかがですか?
入社当初は、まったく聞いたことのない専門用語が飛び交い、営業のやり方が大きく変わったこともあって、かなり緊張しました。
しかし、「まずはこれを担当して、わからないことは何でも聞いて」と上司から課題を与えられ、いろいろ尋ねながら業界のことを学ぶうちに慣れていきました。
周囲の先輩営業の方々も声をかけると気さくに応じてくれます。とても優しく教えてくれるので、自然と馴染めました。
転職して良かったと思うことは?
官公庁の入札案件は、どれも「すぐに成果を出す」といった類のものではなく、比較的長いスパンで取り組んでいきます。成果にはしっかりこだわっていきたいですが、焦らずに腰を落ち着けて物事を考えられるので、自分に合っていると感じます。
扱っているものが地域に不可欠なインフラなので、地域の役に立っているという手応えもあります。また、残業は減って給与は逆に増えたので、その点も満足しています。
困っていることや課題はありますか?
官公庁への営業の基本はだいぶわかってきましたが、施工に関する技術面の話となると、まだまだ知識が不足しています。お客さまのニーズを正確に把握するには、もっと技術を理解しなければいけません。
水門に関する情報はインターネット検索などでは出てきません。一番いいのは、現場を見に行くことです。現場に行くと、設計図面だけ見ていてもつかめない工事の内容が一目で分かります。施工現場は近くないのですが、意識して現場を見に行く回数を増やしたいです。
生活面での変化はありましたか?
実を言うと、通勤時間は前職よりも増えました。前職の事務所は自宅からすぐで、10分もあれば行けましたが、距離が近すぎて「土日に事務所に来て仕事すればいいか」と自分を甘やかすことも多く、よく休日出勤をしていたんです。
今は休日出勤することがなくなり、その分、家族と過ごす時間が増えています。数ヶ月に1回は会社の人とゴルフに行ったりして、リフレッシュできています。転職してから、「だいぶ表情がやわらかくなったね」と妻も言ってくれます。
転職を考えている人にアドバイスをお願いします。
私の場合、「家族と一緒に暮らせる場所で働きたい」ということを一番に据えて転職活動を行いました。自分にとって何が一番大事かを基本軸として活動した方が良いと思います。
その上で、ある程度幅を持たせて考えてもいいかもしれません。私も最初は「橋梁や水門の営業」と紹介された時、前職とあまりにも業界が違うので戸惑いがありましたが、調べていくうちに面白そうだと思うようになり、実際にやってみると自分に合っていると気付かされました。
営業の場合、業界や扱う商材で活動の仕方が大きく変わります。もしかすると、自分が過去にやってきた仕事よりも、もっとフィットする世界があるかもしれません。
一番大事にしたいことは譲れないけれど、それ以外については視野を広く持つ。それくらいのスタンスでいると、良い可能性に出会えるかもしれません。