日東電工株式会社
中村悠人さん(仮名・生産技術) 34歳
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生産技術のスキルを深め、自分の市場価値を高めてくれる仕事を三重で発見。
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奈良県に本社があり、三重や愛知に工場を持つプラスチック製品のメーカーで働いていた中村さん。試作から量産まで生産に必要なプロセスや設備の構築に幅広く関わり、会社からも一定の評価を得ていた。
しかし、「専門性を高めることができているのか」、「社外でも通用するスキルが身に付いているのか」と疑問を覚え始める。そこで、自分の今後のキャリアアップにつながる仕事を探そうと転職活動をスタートした。
三重で既に家を購入しており、自宅から通える範囲での仕事にこだわって活動を続け、日東電工の生産技術職への転職を成功させた。
技術の世界をより深く知れる仕事に携わることができ、家族との時間も十分に持てるようになったと喜ぶ中村さんに転職活動を振り返ってもらった。
※本記事の内容は、2025年11月取材時点の情報に基づき構成しています。
- 過去の
転職回数 - 1回
- 活動期間
- エントリーから内定まで30日間
転職前
- 業種
- 製造業
- 職種
- 生産技術
- 業務内容
- 自動車関連部品の生産準備(試作、量産、設備据付工事など)
転職後
- 業種
- 製造業
- 職種
- 生産技術
- 業務内容
- 自社製品の量産プロセス開発・導入、生産立ち上げと改善活動
会社の敷いたレールの上を言われるまま歩くことに不安を覚えた。
現在のお仕事はどんな内容ですか?
日東電工は表示ディスプレイには欠かせない偏光板などの光学材料をはじめ、工業用テープ、自動車用部材、医療用関連製品などさまざまな高機能材料を開発・製造するメーカーです。
私が担当しているのは新規事業開発部署の生産技術です。まだ世の中に出ていない製品なので、作り方や設備が確定しているわけではありません。
どのようなプロセスなら効率化できるか、どんな設備が高品質の生産に必要かを考え、試作します。試作段階でうまくいけば、それを受け継いで量産に必要なプロセスや設備を検討していきます。
前職の業務内容は「広く・浅く」という感じでしたが、今は役割分担がはっきりしており、「あれもこれもやらないと…」ということはなく、自分の役割に深く集中できています。
入社前のご経歴を教えてください。
出身は愛知県で、岐阜県の大学院で応用化学を専攻し、2013年に修了。奈良県にあるプラスチック製品のメーカーに就職しました。
入社1年後に自動車関連部品部門の生産準備という部署に異動、試作から量産までを担当しました。
受注が決まったら製品を試作し、基準をクリアしているか確認。さらに量産工程を検討し、設備据付工事の現場監督も担当して量産まで持っていくという、幅の広い業務です。原価計算や調達、工程・スケジュール管理などにも関わりました。
そこで10年近く仕事をやってきて、製造業の始めから終わりまでを経験できたのは良い勉強になったと思います。
転職のきっかけは?
前職の時に子どもが生まれ、4ヶ月の育児休暇を取った時、会社のことや仕事について改めて考え直したのがきっかけです。
奈良県の会社に入り、1年後に生産準備に異動して三重へ転居。それから愛知に移り、3年を過ごしました。途中半年ほど九州へ応援に行ったこともあります。その後、再び三重に戻りました。
これまでは請われるまま現場に行き、自分なりに努力をしてある程度の成果を挙げてきたつもりですが、長い人生を考えた時、「このままでいいのかな?」と思い始めたのです。
会社から必要とされるのはいいのですが、敷かれたレールの上を歩いているだけでは、外の世界で通用するキャリアを築けていないのではないか。考えるほどに不安になってきました。
そこで育児の合間に本を読んだり、ネットで情報を仕入れたりして、自分のキャリアを見つめ直しました。
転職活動はどのように進めましたか?
既に三重に家を建てていたため、希望勤務地は自宅から通える範囲。仕事は前職の経験が活かせる自動車業界で、プラスチックの射出成型を手がけている生産関連職が基本軸でした。
一方で新たな分野にチャレンジしたい想いもあったので、二軸で進めていました。
自分の市場価値を測るため、大手の人材ポータルサイトに登録。すると複数の人材紹介会社からアプローチがありました。その中の一社がリージョナルキャリア三重です。
いろんな転職支援会社からオファーはいただくのですが、私に合っているか十分吟味されていないと感じるものも少なくありませんでした。
そんな中、リージョナルキャリア三重は三重県に特化し、求人票に載っていない企業のナマの声もちゃんと教えてくれました。この会社なら自分の志向に合った求人に出会う確率は高いと感じ、お世話になることにしました。
今の会社に決めたポイントは?
会社の規模が大きく、今までと違う分野の事業に取り組める点に魅力を感じました。また、生産技術本来の業務に集中でき、専門性が高められそうなところにも好感が持てました。
並行して進めていた別の会社からも内定をいただき悩みましたが、最終的には新分野にチャレンジした方がキャリアアップにつながると考えて決断しました。
仕事の専門性が深まり、子どもと過ごす時間も増えた。
転職していかがでしたか?
新規事業開発という業務には先行事例がないため、「こうしたらうまくいく」という確証がありません。「こんな機械が欲しい」と思っても、その機械自体がまだどこにも存在しないということも少なくありません。
既存設備のカスタマイズで対応できそうだとしても、どういった工夫を施せば思い通りの作業が実現するのか、トライ&エラーの繰り返しです。
答えを導き出すには、泥臭いですが、自分でやってみるしかありません。暗中模索で、自分たちの努力によって道を切り拓くのが大変でもあり、楽しい部分でもあります。
転職してよかったと思うことは?
その領域でずっと活躍してきた、深い専門知識を持つプロの技術者が大勢いることですね。
私は広く浅く経験を積んできたため、「大体ここまでやっておけばうまく回せるだろう」という感じで仕事を進めるタイプでした。しかしここに来て、「設備を作るにも、もっと深く考えて実行しないといけない」と気づかされました。
わからないことに直面して誰かに相談すると、「こういう点を考えないといけない」と有益なアドバイスをいくつももらえます。自分の見えていない技術の世界を知ることは、今後のキャリアの大きなプラスになるはずです。
困っていることや課題はありますか?
課題は品質を確保しながら開発スピードを高めていくことです。新製品開発には慎重さが欠かせないため、品質を守るための正しい手順を一つ一つ確実に習得している段階ですが、同時にスピード感を意識して業務を進めることも求められています。
双方のバランスを取る経験が、私にとって大きな成長につながる機会だと感じています。
生活面での変化はいかがですか?
日東電工では、従業員の心身の健康とワークライフバランスの実現を目的とした健康経営の一環として、就労時間に関する明確な目標が設定されています。
その環境下で、限られた時間の中で成果を上げる意識が自然と身につき、業務の進め方も効率的になりました。結果として残業はほとんどなくなり、家族と過ごす時間をしっかりと確保できるようになりました。
帰宅してからは、子どものお風呂や寝かしつけをするのが私の役割です。休日はたいてい子どもと過ごしており、最近は鈴鹿の遊園地に行きました。
子どもは2人目が生まれ、上の子はもう3歳です。下の子が生まれた時は育児休暇を7ヶ月取得。その後も妻の負担を少しでも減らすため、朝1時間だけ出勤を遅らせる時短勤務にしてもらっています。
転職を考えている人にアドバイスをお願いします。
転職すること自体は、もう珍しくも何ともありません。新卒学生だと、入社時点で3年後の転職を見据えているという話も聞きます。
そのような状況を見ると「自分はどうしたらいいのか」と悩む人もいるでしょうが、周りに流されるのではなく、常に「自分はどう働きたいか」を意識しながら仕事をする方がいいと思います。
そして自分の意識と目の前の現実にギャップを感じるようになったら、一歩踏み出せばいいのです。
転職支援会社などに登録すると、自分の市場価値を測ることもできます。転職という選択肢を持っておけば、気持ちにゆとりが生まれ、むしろ今の仕事にも身が入ると思います。そして本当にその時を迎えたら、迷うことなく行動に移せるでしょう。