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SKD、TSDって何?挑戦を恐れない社風への挑戦。

マツオカ建機株式会社
代表取締役社長 松岡 賢

更新日:2022年4月13日

1973年、愛知県岡崎市生まれ。三重県桑名市育ち。日本大学生産工学部卒業後、大阪府枚方市のメーカーで生産装置の部品調達などを担当。先々代の急逝に伴い、1999年にマツオカ建機へ入社し、営業部長、専務取締役を経て、2019年に代表取締役社長に就任。
※所属・役職等は取材時点のものとなります。

ちょっと変わった建機レンタル会社

当社は、東海三県において、建設や保全向け機械を中心に、仮設建物や重量・軽架設、足場材など、現場で必要とされるモノ・空間のレンタルと、それに付随する運搬、仮設工事、販売、修理を主力事業としています。一般の建機レンタル会社は、レンタル用の建機・重機を「広く浅く」品揃えするコンビニ型ですが、当社の品揃えは「狭く深く」という専門店型。特定のお客様の特定の場面に必要な機械を代替機や周辺機器、交換部品まで漏れのないように揃え、「もし貸し出し中であれば転貸してでも揃える」というスタンスで、お客様のどんなニーズにも応えます。「特定のお客様の特定の場面に必要な機械」ですから、あまり稼働率は高くありません。建機レンタルに限らず、レンタル会社は稼働率が勝負ですから、そこに躍起になっていない当社は業界ではちょっと変わった会社だと思います。同業者から転職してきた社員は、当社の稼働率の低さを見て最初は驚くほどです。

ワンストライク・ワンアウトから空振り三振を称える社風へ

以前の当社は「ワンストライク・ワンアウト」と言っても過言でないくらいに失敗に対してシビアな社風でした。そのような環境だと何もしない、何も言わないが得策になってしまいます。事実、事なかれ主義の社風でした。私が社長に就任する前から、この社風を変えようと取り組んできました。組織図の階層を減らして風通しを良くし、そして決裁を早くする。挑戦を促すために、積極的に提案してきたことはよほどリスキーでない限りは通す。そして、透明性を高めるために意思決定のプロセスは事後的に公開するなど。しかし、これだけでは一般社員にまで「見逃し三振はダメだけど、空振り三振は称えるから、失敗を恐れずどんどん打席に立って振ってほしい」というメッセージが浸透しないので、SKD(すぐやる、必ずやる、出来るまでやる)や、TSD(挑戦して、失敗しても、大丈夫)を社内共通語にしようとしているところです。

脱「マツオカ建機」とグループ経営

2007年にプライド物流と資本提携をしたことを皮切りに、M&Aに取組み始めました。現在は、マツオカ建機を事業持ち株会社として、その傘下に6社のグループ会社があります。そして、グループ経営をより合理的に進めるために、2022年4月に、純粋持ち株会社であるミライリスホールディングス株式会社が、マツオカ建機株式会社を含む7社を傘下に持つという新たなグループ体制へと移行します。その目的は、以前の事業持ち株会社制だとバックアップ部門のスタッフはどうしても「マツオカ建機ファースト」になっていましたので、マツオカ建機は人材を採用でき、IT化も進んでいても、グループ会社は遅れているという格差がありました。それをなくしてグループのためのバックアップ部門にすることが一つの目的です。また、純粋持ち株会社化は、これからもM&Aを積極的に進めるという意思表示でもあります。社名から建機を取り、社内プロジェクトで検討に検討を重ねた「未来+アイリス(虹)=ミライリス」という社名には、「未来への橋渡しをする」企業グループになるという思いと、現在進めている各種改革の旗印になってほしいという期待を込めています。

社員一人ひとりの物心両面の豊かさと幸せの実現

全ての活動の原点は、真剣に社員の幸せを考えることにあります。レッドオーシャンで価格競争を繰り広げるよりもブルーオーシャンで仕事をすること、空振り三振を称えること、グループ経営を進化させること、全てグループの全社員がより幸せになるためです。良い会社に入れば社員はハッピーになれるし、逆に良くない会社に入ればアンハッピーです。当社に来てくれた社員には、「良い会社に入れてハッピーだ」と思ってほしいので、そのような会社に近付けるように日々創意工夫しています。これから当社に来てくれる方には、「うちに来て、みんながハッピーになれる、より良い会社にするお手伝いをしませんか」と伝えたい。これからはAIによって本当に働き方が変わります。当社でもAI第1号として、ユニットハウスのレイアウトを選定するAIを導入しました。これまで経験を積んだ社員が約1日を費やしていた、顧客の要望を反映させたレイアウトプラン作成が、AIではたった5分ででき、社員は新たな価値創出が可能になります。これからAIを社員のサポートにどんどん活かし、社員の幸せのためにリスキリングにも力を入れています。

井の中の蛙に大海を見せてくれる中途採用

過去の当社は新卒採用中心で、中途採用はほとんどありませんでした。新卒は社内に新鮮さをもたらしてくれますが、社会経験がありませんので、第三者視点をもたらしてくれることはありません。しかし、ここ数年で中途採用や監査役、経営顧問を外部から迎え入れるようになって、いかに自分たちが「井の中の蛙」であったかを思い知らされる場面が多くなりました。例えば、大手自動車メーカー出身の監査役からは、「イノベーションに挑戦」というスローガンを掲げながら「対前年比5%増」の売上目標を掲げる私たちに対して「50%増の間違いではないのか」とその矛盾を指摘され、正に目から鱗でした。また、システム開発や情報セキュリティに関しても、それまで当社の常識でやっていたことが、他社を経験した中途採用者の目で見るといかに矛盾があるかを気付かせてもらったことも多々あります。様々な場面で「井の中の蛙」であることを気付かせてもらっていますし、社外に意識的に目を向ける必要性を感じています。これからも、多様性を求めて中途採用を積極的に進めます。

これからのミライリスグループ

日本の建機レンタルは成熟産業ですので、「特定のお客様の特定の場面に必要な機械を狭く深く揃える」という当社の基本戦略を貫いて、日本国内で大きく商圏を拡大することは難しいと考えています。しかし、海外はそうではありません。既にいくつかの国で実験をしていますが、日本で当社が構築してきたビジネスモデルを海外においてその国の市場環境や業界成熟度にカスタマイズして展開することは十分に可能だとの手応えを感じています。海外だけでなく、もちろん国内でも強化します。より強い事業にするために、商圏拡大よりもむしろ商流の充実に注力します。具体的には、当社の業務プロセスの下流に位置するレンタル機器の「物流」、足場等の「施工」、機器の「メンテナンス」などの機能を充実させたいと考えています。このようなミライに向けて、M&Aと中途採用を積極的に展開したいと考えていますので、楽しみにして頂きたいと思いますし、当社はそのようなミライを共に創ってくれる仲間を常に求めています。

編集後記

コンサルタント
三田 泰久

私が抱いていた「建機レンタル」のイメージが大きく変わるインタビューとなりました。自社の戦略や将来展望について、私が忖度して抽象化しなければならないくらいに詳しく具体的に伺えました。私の文才の限界とスペースの制約があり、全てをご紹介できていないのが残念です。ちょうどマツオカ建機グループからミライリスグループに生まれ変わるタイミングでインタビューを実施でき、ミライの展望をお聞かせいただけたのは幸運でした。微力ながらそのミライの実現をお手伝いさせていただきたいと思いました。国内において独自のビジネスモデルを構築し、それを海外展開しようとしているミライリスグループにおいて、空振りを恐れずバットを振りたいという方の挑戦をお待ちしています。

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