転職成功者インタビュー

辻製油株式会社
北山宏之さん(仮名・研究開発) 41歳

人生は一度きり。だからこそ、家族の幸せと働きやすい職場を求めて転職に挑戦。

食品や化粧品に使用される香料開発のスペシャリストとして、東京でキャリアを重ねてきた北山さん。39歳のときに単身赴任となったが、当時、二人の子どもは0歳と3歳。残された家族の負担は想像以上に大きかった。さらに会社の将来にも不安を感じていた北山さんは転職活動をスタートし、三重県にある今の会社と出会う。

住み慣れた東京の会社からもオファーはたくさんあったそうだが、なぜ北山さんは何のゆかりもない三重県の会社を選んだのか。転職活動と現在の暮らしについて詳しく伺った。

※本記事の内容は、2020年6月取材時点の情報に基づき構成しています。

過去の
転職回数
3回
活動期間
エントリーから内定まで100日間

転職前

業種
香料
職種
フレーバー開発、基礎研究
業務内容
食品香料(フレーバー)の開発、新規素材開発、ジュニアボードサブリーダー

転職後

業種
食品(植物性食用油ほか)
職種
研究開発
業務内容
天然香料、調合香料、フレーバーオイルの研究開発

東京にこだわらなかったから届いた、意外なオファー。

現在のお仕事はどんな内容ですか?

三重県松阪市に本社がある辻製油株式会社という油脂メーカーで働いています。当社はコーン油、なたね油などの油脂や、食品、化粧品、薬品などに応用されるレシチン、セラミド、コラーゲンといった機能性素材を製造している会社です。なかでも、コーン油の生産量は国内トップクラスです。

私はアグリ事業本部に所属し、農産物から天然香料を抽出・分析して食品やフレグランス商品などの開発へとつなげる研究を行っています。

入社前のご経歴を教えてください。

出身は東京です。東京の大学と大学院で学んだ後、千葉にある香料メーカーへ就職し、香料開発という仕事と出会いました。とても奥が深い世界に魅了され、その後もう一度大学院で研究に取り組み、29歳で卒業。東京の香料メーカーに就職して、調香の仕事に3年間携わりました。

その後、大手食料品メーカーに転職。香料やお菓子のシーズニング、即席めんなど幅広い開発を3年間経験しましたが、やっぱり純粋に香料の仕事だけをやりたくなって、前職となる東京の香料メーカーへ転職。新規香料の開発や研究に取り組んでいました。

転職したきっかけは?

「単身赴任」が大きな問題でした。39歳の時に東京から千葉へ異動になりました。その当時は、子どもが0歳と3歳。いちばん手がかかる時期で、妻も仕事をしていました。家族で千葉へ引っ越したとしても、保育園に入れる保証はありませんし、私が1人で千葉へ赴任することにしたんです。

でもすぐに「まずいな…」と思いました。妻にかかる負担がとても大きく、子どももすごく寂しがっていました。週末のたびに東京に帰っていたのですが、日曜日の夜に私が千葉へ戻ろうとすると、泣きながら追いかけきていましたから。

転職活動はどのように進めましたか?

大手を中心にいくつか転職サイトに登録しました。勤務地は東京にはこだわりがなかったので「東京から西」で幅広く探していました。

妻がもともと九州出身だったので、西には良いイメージがありました。エリアを広くしていたからか、多くのオファーメールを頂き、その中に今の会社があったんです。

とはいえ香料の会社ではなかったので、最初は検討しませんでした。でもたまたま家族で紀伊半島へ旅行に行った時に「そういえば、あの会社、近くにあったな」と思い出し、工場を見に行ってみたんです。けっこうきれいな工場だなと好印象を持ちました。

その後、道の駅でオイルを粉末化した当社の商品を見つけ、さらに興味を持ち、帰ってから会社のことを詳しく調べてみました。メールをくれたコンサルタントに連絡をして面接を調整してもらった、という流れです。

今の会社に決めたポイントは?

面接は東京と大阪の会社をあわせて、5~6社受けたんですが、決めた一番のポイントは社長の話ですね。私が希望していた香料の開発にもこれから力を入れていきたいということでしたし、社員に任せてくれる環境、いろんなことにチャレンジできる環境があるという点が魅力でした。

三重県に縁はなかったのですが、かつて地方都市に赴任していたことがあり、地方のほうが暮らしやすいというイメージもありました。東京は人が多くてどこへ行っても混んでいるし、家賃も高い。妻も最初は不安がっていましたが、東京を離れることについてはすぐに賛成してくれました。

地方ライフは、ストレスフリー。自宅の庭では家族で家庭菜園も満喫。

転職していかがですか?

実は今はまだ、本来やりたかった「開発」の仕事はできていません。というのも今、香料の開発を本格的に行うための研究棟を作っているところなんです。

現在はあまりやったことのない「研究」の仕事を任されているので大変ですが、これまでの経験は活かされているとは思います。目的のために何が必要かを考え、日々の仕事に落とし込み、形にしていくのは同じですから。

また、人間関係もすごく良いですね。三重の人は人間味があるといいますか、温かみがあります。東京はみんな忙しすぎて、他人まで構っていられないような印象でしたが、こちらは「世話焼き」の人が多いんです(笑)。ですから初めての業種の初めての仕事でも、周囲のサポートを受けながら、なんとかやっていけています。

生活面の変化はありましたか?

津市に一軒家を借りて、家族4人で住んでいます。築30年くらいですが、子どもが走り回れるくらい広いですよ。庭もついていて、家賃は11万円ほどです。庭で畑も作るようになりました。イチゴ、トマト、ジャガイモ、パプリカ、リンゴ、ブドウ…いろいろ植えて楽しんでいます(笑)。

通勤時間は車で15分くらいです。電車で片道2時間かかっていた東京の頃と比べて、ストレスもなくなりました。

信号や渋滞が少ないので車の移動も楽になりました。海も山も近いので、休日は潮干狩りに行ったり、ドライブに行ったりして家族で遊んでいます。

また津市には、生活に必要な施設や店はなんでも揃っているので、不便さは感じません。東京と比べると物価も安いと思います。また、私が今住んでいる地域は教育も熱心なエリアで、公立の学校でもカリキュラムが充実しているそうなので、安心して子育てできそうです。

困ったことや課題はありますか?

今の会社は、祝日がある週の土曜日は出勤日なので、休日は少なくなりました。また、新しい会社では何をするにも勝手が違いますから、どうしても仕事のスピードが落ちてしまうので、そこはストレスを感じますね。でもそれは、どこへ行ってもあること。最初の1年はそれが当たり前だと思います。その点、皆が親切に教えてくれるので助かっています。

転職して良かったと思うことは?

今は社長との距離が近いなと感じます。日常的に社長と仕事の話ができ、決裁スピードも早いため、一緒に会社を動かしている実感がありますね。それがオーナー企業の良さなのだと感じます。

プライベート面では、家族と暮らせるようになったのが何より良かったです。一緒に過ごせる時間は圧倒的に増えました。早ければ17時半には帰宅でき、子どもは私が帰ると「遊んで!」といってまとわりついてきます(笑)。単身赴任の時はさみしい思いをさせましたから、今は思う存分、遊ぶようにしています。

転職を考えている人にアドバイスをお願いします。

人生は1回しかありません。ですから私はいつも「残された時間を計算して行動しないと後悔する」と自分に言い聞かせています。「思ったことは、行動に移していこう!」と心がけていますし、それでどのような結果になっても後悔しないと思うんです。自分で決めたことですから。

転職に不安を感じている方もいると思いますが、結果は自分の行動で決まります。受け身にならないことが大事なのではないでしょうか。

それと同時に、新しい職場に行ったら「自分は1年生だ」という気持ちでいちばん後ろに並ぶ姿勢、周囲に「教えてもらう」という気持ちが大事だと思います。今までこうだったから同じスタンスでいい、今までと同じポジションでいられる、と思ったら失敗のもと。新しい場所では、周囲に教えてもらわないと仕事になりません。上司や会社に対して何かを言うにしても、まずは成果を出してから、ということを私は心がけています。

担当コンサルタントから

コンサルタント 
瀬古 さやか

北山さんは初回面談から一貫してご自身の強みを生かしたい、というスペシャリストとしての自負心やこだわりを強くお持ちでした。数多くの選択肢の中から、気に入っていただける企業を三重県でご紹介できたことを大変嬉しく思います。

「新しい職場に行ったら自分は1年生だ」というメッセージには大変共感します。スペシャリストとして優れたキャリアをお持ちであるにも関わらず、謙虚を忘れない姿勢からは、多くの学ぶべきところがあると感じます。

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